誰の事か、と言えば、吉田 和生画伯のことです。
糺の森を四季ごとに訪ねられて五十年。「土日曜日に糺の森で先生に遇わなかった日はありません。」と近隣の住民は語っています。
平日は学校の美術の先生だったそうです。
今、想うと、三十号・四十号、時には百号と、大きなキャンバスを自転車で、雨に日も、風の日も運ばれるのは大変な事であったと思います。
当時は千本丸太町にお住まいでしたから、糺の森近くに住まいする住民がすすんで協力し、キャンバスをお預かりしておりました。
当然、神社も協力し、倉庫を提供していましたので、たまたま倉庫へ用事に入ると、油の匂いがしたことを思い出します。
つい、先立って、京都市の美術館でその五十年間の作品展が開催されました。年代順に掛けられている作品を拝見すると、確かに歴史を感じられます。
「それはそれで、面白い季節ですが、永い冬枯れの時期を通り越して、花芽の季節の到来を感じ始めるころの糺の森は、さらに森全体に春の鼓動を風さきに感じました。静かに季節の流れを聴き、森と光と会話しながら、そのまま夏・秋と楽しみました。」と語られていました。
糺の森の移りかわりを眺めて五十年とは羨ましいことです。