あと二年さき、ラグビーw杯日本大会が開かれます。我が国で世界のラグビーがおこなわれるのは初めてのことです。その組み合わせの抽選会が世界から二十二チーム、京都に集まって、今年の葵祭の前の五月十日に、おこなわれます。
京都が選ばれたのは、ラグビーと深い関わりがあるからです。日本のラグビーは、明治三十三年(一八九九)、イギリスのクラーク先生が慶応大学で指導されたのが始まりとされていますが、明治四十三年(一九一〇)九月、我が国、初の試合が旧制の第三高等学校と慶応義塾大生が糺(ただす)の森の馬場で対戦した歴史があるからです。
それ以来、瞬く間に大学や企業に広まり、数々の名勝負がありました。昭和四十四年(一九六九)、日本のラグビーの歴史を伝えるため、旧三高の関係者によって、糺の森の馬場に記念碑「一蹴の地」が建立されました。ご覧になった方がおありかと存じますが、現在は、ラグビーの聖地として訪れる大勢のフアンがおいでになります。
ここでラグビーがおこなわれ、その歴史を伝えるため「一蹴の地」の記念碑が建てられたのは、側に雑太社(さわたしゃ)という神社が祀られているからです。この神社には、神魂命(かんたまのみこと)という神さまが祀られています。下鴨神社の賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)の先祖の神さんであり、蹴鞠やサッカーの神さん、大伊乃伎命(おほいのきのみこと)という神さんの先祖でもあるからです。また「魂」は、「球」に通ずるとして、今日なお多くのフアンの心のよりどころ、となっています。
雑太社は、現在、御本宮の式年遷宮事業の関連工事のため、仮のお宮さんですが、近々新殿のご造替の予定です。
本年は、下鴨神社崇敬会設立七十周年記念の年です。来る十月十五日には、記念行事が数々おこなわれるなかで、雑太社の社前では、子供たちのラグビーが開かれる準備が進められています。
古い時代から、この馬場は、お馬さんが走るだけではなく、雑太さんのご神徳の関連でラグビーのほかにも、明治時代の初め、各地に女学校が創立されたころ、初の運動会が催されるなど様々、スポーツ大会が開かれてきました。