机と言えば、物を置く台のことですが、せんない呼び方です。
おおかたの現代の神社は、案(あん)と呼ばれる台を使用しています。
たいはんが素木の八本脚で三尺か、六尺の長さ、巾五寸か、七寸ほど。台と言うか机と称するか。「物を置く」とは例えば、神饌(御供え)とか、玉串(拝礼のときの捧げもの)など。他にもいろいろにつかわれます。
ところが、下鴨神社では、祭儀によって名前が異なります。
本来的に御供えものを安(おく)、「すえる」と言う意味ですから、その辺に置くとは異なります。
安(おく)所によって名称により定められています。
例えば、「大台盤」と単に台盤と称し少し小さめの「案」の二種があります。長さ三尺に巾二尺、高さ一尺五寸、八本の猫脚でいずれも朱漆塗。単に台盤と称するのも寸法が異なるだけで姿は同じです。
あとは、「大盤」と称する朱漆の高杯の大きな物で、高さ一尺五寸、直径一尺あまりの円形の脚のついたお盆のようなもの。
「御膳」と称する、長さ一尺五寸、巾一尺。脚はなく左右にセンが付いたものなど、祭儀によって様々の案があります。
しかし、いずれも殿上か殿内の祭具で、庭上は別の様式です。
藤蔓とか、キハダの枝を蔦で編んだものとか、梶の小枝を編み、梶の葉で蓋をするとか、祭によって様々なものが用いられています。そのため、用材となる植物は、手近にいつでも使用可能なように植えているか、山へとりにいくなど、常に新しい「シモト案」を用いることとなっています。